婚活辞典

婚活
こんかつkon-katsu


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女性の社会進出、晩婚化、核家族化などの社会状況の変化が自由恋愛を促進し、結婚をする為には就職活動(就活)のように積極的な「結婚活動」が必要になった事から生まれた言葉。社会学者、山田昌弘が提唱した造語。同氏の著書『「婚活」時代』が流行の発端となった。

婚活という言葉の持つ意味

婚活という言葉は就職活動(就活)をもじって作られました。
結婚をする場合であっても、きちんとした結婚活動を行わないと自由恋愛が主流となった社会ではなかなか結婚すらままならないことを示し、男女共に結婚をしたいのであれば就活のようなきちんとした活動を行う必要があるという意味が込められています。

初出は2007年11月5日号の『AERA』における山田昌弘氏と白河桃子氏の対談とされ、翌年の2008年3月1日に刊行された『「婚活」時代』(山田昌弘・白河桃子)という本が話題となり、社会現象化し婚活ブームが発生しました。
『「婚活」時代』という本の中では、男女共により積極的に行動をする事が求められており、婚活から派生して自分磨きや女子力の向上など、様々なブームが発生しました。

婚活という言葉が生まれた背景

婚活という言葉を作った社会学者の山田昌弘氏は家族社会学を研究しており、時代の変化による家族の在り方や問題を提起してきました。良く知られている「パラサイト・シングル」という言葉も、同氏が提唱した言葉です。
長年家族の在り方を研究してきた立場から、女性の社会進出による晩婚化、核家族化や雇用形態の多様化といった社会状況の変化が、結婚にも大きな影響を与え、結婚したくてもできない人を多く生み出している状況があると述べています。

それまで、親族やご近所さん、社内などで結婚相手を紹介してくれていた場がなくなり、自由恋愛が主になってきた途端に、これまでの価値観ではなかなか結婚しづらくなってきています。
1960年代から増え始めた自由恋愛から結婚の流れが大半を占めるようになってきたことと、良くも悪くもマスメディアが作ってきた興味・流行がインターネットの発達で多様化し、それによるライフスタイルの変化が男女間のミスマッチに影響を与えているといえるでしょう。
趣味も仕事も生き方も多様化している中で自分の理想の相手を見つけることには、難しいという事です。

また、自由に相手を選べるとなった際に人間の心理として「もっと良いものがあるのでは?」と考えて手を伸ばすのをやめてしまう傾向があるそうです。それが如実に出ることで結婚に繋がりにくくなり、男女間の結婚に対しての考え方にも大きなギャップを与えています。
男性は共働きを求める傾向が強いのに対して女性は専業主婦を求める傾向があったり、日本全体でも20%もいない年収500万円以上の男性を女性が求めたりと、求める相手や結婚に対しての考え方に大きな違いが生まれている部分が見られるそうです。

婚活ブームと誤解

『「婚活」時代』という本が話題になった2008年以降、様々な婚活ビジネスが立ち上がり消えていきました。
自分磨きや女子力の向上につながるような自己啓発、朝活、美容、ダイエットなど、全ての物に婚活と銘打って様々な企業が女性向けにプロモーションを行ってきました。それぞれが一定のブームを生み出しました。

ですが、そのベースにある思想が「自分を磨けばより良い(例えば年収の高い)男性と結婚できる」という、『「婚活」時代』の本に対しての誤った認識からスタートしていたものが多いものとなっていました。もしかしたら、女性の玉の輿願望に強く訴求して購買意欲を上げようという企業の戦略でもあったのかもしれませんが、それにより「婚活疲れ」をしてしまう女性が生まれるなど、違った社会問題を生む結果となっています。

また、仕事に追われて自分を高めることができない男性と、どんどん自分磨きに力を入れる女性との間にギャップが生まれ、男性が逆に婚活に励む女性を避けてしまうなどのデメリットが生まれ、「婚活」とうい言葉は残りましたが過剰な婚活ブームは去り、現在の婚活市場では「お互いに興味が合う相手と出会う」形の婚活イベント、料理婚活、趣味婚活、オタ婚活(オタク同士の婚活)、ねこんかつ(猫好き通しの婚活)等が増えています。

アンチ婚活という考え方

自由恋愛と共に生まれたのが、結婚しない自由という考え方です。
また、LGBTへの理解が高まってきた昨今では、男女の結婚という考え方とは全く違うあり方も許容されつつあります。
これまでの様に適齢期になったら結婚しないといけない、という考え方ではなくて、結婚しないことも生き方やこだわりとして認めてあげるべきだという考えや主張も多くあります。

また、恋愛や結婚という人生で大きな過程を、パッケージ化された婚活イベントなどに任せてよいのか?愛情を育むという意味では、きまりきった形の婚活というのは良くのではないかという考え方もあります。
婚活疲れという言葉が生まれている状況だけを見ると、婚活自体を否定することはできないけれども、決まりきった形ではなくて自分に合った形で活動をしないといけないのではないかというのは、理解できることではないでしょうか?

婚活の変遷

婚活の変遷というのは、婚活を取り巻くビジネスの変遷といえるでしょう。
婚活ブームが起こった2008年ごろに主流だったのは、婚活パーティ、お見合いサービス、合コンセッティングサービスなどでした。
また、自分磨きや女子力向上のためのファッション講座、お料理教室、ダイエット商品、マナー講座などのビジネスが婚活ブームに合わせて発生。
変わったところでは、婚活パーティ用の衣装のレンタルなどのビジネスも生まれています。

また、『「婚活」時代』出版の前後で新しく生まれたのは婚活バー(シングルスバー)は大きく注目を浴びました。海外のビジネスエグゼクティブやキャリアウーマンたちの出会いの場として使われている独身向けのバーを模した形で、完全会員制、身分証明書や名刺による本人確認が徹底されたサービスが提供されはじめました。
婚活ブームの影響もあり、新しいタイプのサービスとしてテレビや雑誌などで大きく取り上げられ、数年で日本全国に婚活バーが生まれる事となります。

その後、婚活色を薄めた既存サービスの亜種が増えていきました。
婚活バーの亜種として、婚活居酒屋や合コン居酒屋、そして有名な街コンや相席居酒屋が生まれました。
婚活ブームが下火になるにつれて、出会いを提供はするが婚活系サービスのように堅苦しくないサービスが増えていきました。
時期を同じくして、婚活までも堅苦しくなく、それでも真面目に出会いを求めている層に向けて「恋活」という言葉が生まれ、婚活疲れをした層や真剣だけれど気軽な出会いを求める層に受け入れられ、ライトなサービスが増える要因になったといえるでしょう。

インターネット上のサービスも、オンラインのお見合いサービス、合コンセッティングサービスが増えていく中で、出会い系サイトが婚活色を出したサイトを立ち上げていき、様々な種類の婚活サイトが増えていきました。
中には、既存の出会い系サイトの形を婚活に変えただけというものもあり、数はたくさん増えたのですが、婚活ブームが盛り下がっていく中で利用されるサービスというのは限られるようになりました。

スマートフォンアプリによる婚活の流行

インターネット婚活市場で大きな変化をもたらしたのは、スマートフォンアプリの登場です。
特にFacebookのアカウントと連携をして、より信頼性を高めつつも気軽に婚活ができるマッチングサービスは、Facebook内の広告と親和性が高いこともあり、多くの独身男女の利用につながりました。

2016年現在、インターネットの婚活市場で活況なのは、旧来の結婚相談所タイプのサービスではなく、完全に婚活系のマッチングサービスといえるでしょう。
また、婚活パーティなどのイベント型のサービスにおいても、スマートフォンアプリと連携することで、より多くの出会い機会を提供しようと試みられています。

強く婚活をプッシュする新しいサービスは減りましたが、それでも結婚したいという男女は変わらず存在することには変わりありません。
やや意図的に作られた感のある婚活ブームから、自分たちの利用しやすい婚活へと利用者も変わっていっているのかもしれません。

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